北の街に暮らす高校生の僕は、白い闇に包まれた深夜の公園で、雪と戯れる少女と出会う。それから八年。都会の生活と大人の社会からはみ出してしまい逃げるように帰郷した僕は、雪夜の公園であの時のままの少女と再会する……。『四日間の奇蹟』の浅倉卓弥が贈る、心暖まる現代のフォークロア。
★★=2.0
物語に力がある。淡々とした語り口の中に、読者を引き込んで離さない力強さがある。少年から青年へと変わり「社会人」となった主人公の迷いや葛藤などが生き生きと描かれている。
ファンタジックな部分はあるものの物語に派手な展開はなく、やや冗長な感じも否めないが、しっとりとした読後感の残る良作。

DVD『木曜組曲』

2005年5月29日 映画
4年前に謎の薬物死を遂げた耽美派女流作家の死は「自殺」か「他殺」か? 彼女の存在を忘れられない5人の女性はそれぞれに推理を展開する…。鈴木京香、原田美枝子ら五大女優共演によるミステリー。
★★★=2.5
恩田陸原作の同名小説を映画化。
主演が、鈴木京香、原田美枝子、西田尚美、富田靖子、加藤登紀子、浅丘ルリ子と、実に豪華。そろって演技が上手い。
次々に語られる新事実に、めまぐるしい展開。物語はひとつの建物内で繰り広げられ、派手な展開は無いものの、視聴者を物語りに引き込む力は素晴らしい。それでいて、原作の持つしとやかな雰囲気を損なっていない。
原作ファンとしても、納得の行く作品に仕上がっている。

DVD特典として、作中でテーブルに並べられた料理のレシピが収録されている。なかなか面白い趣向かと。
★=0.5
再編集版Zガンダム。3部作の第1部。
前半はだいぶ端折った感じで、唐突な感が否めない。序盤はストーリー展開がスローな分だけ描かれた事物も多いが、再編集となればバッサリ省略ということだろうか。オリジナル版を見ていない人にとっては、カミーユなんて「こいつナニ?」と引いてしまうこと請け合いである。
後半はストーリー展開が早まり、テンポ良く見ることができる。
オリジナルがカミーユを中心に据えた話だったとすれば、今回の新版はシャアとアムロを中心に据えたような印象を受けた。そういった意味では、純粋なファーストの続編といえるかもしれない。(第2部「恋人たち」のイメージがフォウとベルトーチカであるのも、アムロが中心に描かれることを想像してしまう。)

オリジナル版の映像をそのまま?使用した部分が多く、新規製作部分とのギャップは見るに耐えない。全編作り直していれば……声は新規録音なのか、変更になっている声優さんもちらほらと。

余談。
ライラは大尉のはずなのに、少佐の階級章を付けていたような…ジェリドは中尉なのに大尉の階級章…?ティターンズは1階級上の階級章って、そんなはずはないか。と思っていたらカクリコンは中尉章。
ワケが判りません。(オリジナル版の)単なるミスか、私の見間違いか…

総合評価。
オリジナルを知らない人がいきなり見るのは、厳しいと思う。画質等については、今のアニメを見ている人からすると、酷評されても仕方ないレベル。オリジナルのストーリーでどこが掘り下げられるのか?という、非常にマニアックな楽しみ方をする作品ではないだろうか。
★=1.0
韓国人男性と日本人女性の夫婦による、韓国紹介本。
難関が目白押しといわれる日韓国際結婚だが、このケースにおいて
は世に言われるような障害は起きなかったらしい。夫の両親(特に父
親)が先進的というか、理解があったかららしいが。

対中や対韓の交際情勢が取り沙汰される昨今、笑い話からでも少し
でも韓国のことを知ってみたい。その点では、日本に住む韓国人(し
かも、普通の人)の「韓国ってこうなんだよ」はリアルで良い。
密室状態の袋小路で殺された富豪の手から、森江春策の元に巡りめぐって持ち込まれた不思議な書物には、異なる時代の六篇の物語が様々な言語で綴られていた。三百年に及ぶ書物の謎が解き明かされるとき、莫大な遺産をめぐる不可能犯罪の真相が浮かび上がる。東方綺譚、海洋活劇、革命秘話&中華幻想、秘境探検、ウェスタン、航空推理―時代・場所・ジャンルをそれぞれ変えて構築された驚愕の連鎖長篇。(Yahoo!books)
★★=1.5
多彩な物語へのオマージュ的な内容に満ちた一冊。
各話には小さな謎がひとつ含まれているが、ミステリとしてはイマイチ。冒険活劇等に対する作者の憧憬を楽しむのが良いかもしれない。ミステリとしての完成度を求めなければ、各話は純粋に楽しめる内容である。歴史的背景に裏打ちされた面白みがあるため、歴史マニアはさらに楽しめるだろう。
ミステリ的な部分は、プロローグ・エピローグ的な名探偵・森江春策の登場編で摂取。
・「新選組!」来年1月続編放送(日スポ)
http://www.asahi.com/culture/nikkan/NIK200505260004.html?t

・『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』日本公開日決定!
http://movies.yahoo.co.jp/m2?ty=nd&;;id=20050526-00000006-flix-ent

・新訳「星の王子さま」続々 岩波版半世紀、独占権が消滅
http://www.asahi.com/culture/update/0526/001.html?t
★=1.0
13編を収録した短編集。
やや哲学的な話や、アイヌや南東のシャーマンが出てくるエッセイ風の話など、バラエティに富む話が収められている。
どの話にも、読者の心に何かを感じさせずに入られないパワーを秘めている。ストーリーとしては、「それで?」と聞き返したくなるものもあるが、読後に何かを感じずにはいられない、不思議な魅力を持っている。
問題は、私がその何かを上手く表現することができないということだ。

大台に。

2005年5月25日 日常
世に言う誕生日というヤツでして。
30になりました。大して感慨も無いですが。
祝ってくれた方々に感謝。
30か……年金生活への道も折り返し地点に……
しかし、いまはもう年金に期待できない世の中だしなぁ。
豪華著者によるミステリーアンソロジー決定版!
火村&有栖が、メルカトル鮎が、狩野俊介が!なだたる名探偵たちが不可解な謎に挑む!!豪華執筆陣が贈る、緻密かつ精密な論理の迷宮への招待状。超絶アンソロジー第2弾登場!
★=1.0
角川スニーカー・ミステリ倶楽部の既刊よりセレクトされた短編集。
著者は、有栖川有栖、折原一、太田忠司、赤川次郎、西沢保彦、霞流一、鯨統一郎、麻耶雄嵩。

既読の作品あるにはあったが、半数以上が未読。
各作家の味が出ていて良い出来。
不良少年&老噺家、笑いと涙の落語ミステリー!
無理やり落語家に弟子入りさせられた、不良少年の竜二。師匠にどつかれ、兄弟子には嫌がらせを受ける毎日。逃げる機会をうかがっていた竜二だったが、そんな中、事件が…。本格落語ミステリー。
★★=1.5
落語界を舞台にしたミステリ。
このジャンルには北村薫の「師匠と私」シリーズ等があるが、やや趣を異にして、はちゃめちゃ人情モノといった風情を見せる。筆者お得意の駄洒落もアリ。
連作短編の構成になっており、各話ごとに登場する落語の解説も付けられている。

余談かつ個人的な印象だが、落語に親しみが持てるような作品には好感が持てる。テレビドラマ「タイガー&ドラゴン」とか。
私の友人が主宰?をしている「温泉部」という団体というかサークルというか、そんな感じのものがあります。その温泉部が結成以来、初めての飲み会を決行しました。

16時現地集合で温泉(足湯アリ)に入り、19時より飲み会。
さらにカラオケに流れて日が変る頃に解散。
温泉上がりが効きに効いて、眠くて仕様がなかったです。
初対面の方々と(少しだけですが)実のある話もできましたので。
しかし、次があるのだろうか……
猟奇殺人の現場に遺された“悪魔の紋章”の意味は?闇の貴公子 ベルリンの恐怖に挑む!まったく新しいダーク・サイド・ヒーロー誕生。夜と霧、そして……断末魔。黄金の1920年代退廃の大都ベルリンに惨殺された娼婦ひとり。遺体の傍らに残されたのは鮮血でしるされたGJの文字!旧友を殺され憤怒に燃える若き女伯爵ウルリーケを襲う奇怪な事件の連続。闇にうごめく殺人鬼。陰謀をたくらむ暗黒の騎士団。窮地におちいった彼女を救うべく乗りだしたのは幼なじみ「猫子爵」こと鷹宮洋一郎!超絶の青年魔術師があばいた戦慄の真相とは!?

作者の趣味とも言うべき歴史薀蓄(?)が、あまり本編と関係ないのはいささか残念か。その点ではマニアック度は低め。レーベルの読者層を鑑みての配慮だったりするのだろうか。そういえば、文体も若干崩し気味の印象を受ける。
エピローグで続編に向けての「引き」があるので、シリーズ化する予定と思われる。
余談だが、GJと聞いてグッジョブ!を連想したのは不覚。
恋愛函数とは、男女間の相性を数学的に現したGP値を求める数式。この理論を用いて経営されていた結婚相談所で、紹介者間の殺人事件が発生。GP値が高いカップルは最高の相性のはずだが……
ストーリー展開自体は特に入り組んではいないのだが、文章が冗長で、展開についていけなくなる。とくに恋愛函数の解説は冗長。フィクションとしてそういうものがある、とせずに理論に対するリアリティを求めた結果だろうが、読みづらさに拍車をかけている印象を受けた。
エンディングはあまりすっきりとしない。登場人物のほとんどが事件に関わりながらも(危険な目にあってもいるのに)、どうにも第三者的というか、傍観者的で真相に手が届かない。読後感としては爽快感に欠ける。

恋愛函数が(函数と言いながら)、数学的理論ではなく、データ収集からくる統計であったというのも、やや興ざめ。
・背中の板は役立たず? 恐竜ステゴサウルスで新説(yahoo)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050518-00000167-kyodo-soci
>皮骨板は体温調節や防御目的にはほとんど役に立たず、仲間を見分け
>るのが主要な用途だった
体温調節等の効果はなかったとしても、個体識別のため……?ちょっと疑問。

・宮崎・西都原古墳群で前方後円墳確認〜国内最古級か(読売)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_05051904.htm
これ、結構大きなニュースだと思うんですが。
・無料レジ袋の禁止案、ゴミ減量で環境省検討(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050518i501.htm
確かに過剰包装でもあり、資源の無駄使いでゴミ増加の一因ではあるが。
正直な話、有料化はやりすぎだと思う。
「袋いりません」という人には、ポイント等で還元という方が消費者に理解されやすいのでは……

・ガラパゴス西端の島で噴火、独自進化の動植物が危機(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20050518i516.htm
>ガラパゴス国立公園事務所のワシントン・タピア所長は「イグアナな
>どが焼け死ぬだろう。心配だが、それも自然の営み」と話している。
……達観というか。保護とか救助という発想はないらしい。
古美術・骨董業界で生きる「冬狐堂」こと宇佐美陶子。彼女を主人公とした「冬狐堂シリーズ」最新刊。全4編収録。
シリーズとしては2年ぶりの新刊。
骨董を絡めたストーリー展開は変わらないが、主人公の「タフさ」に言及する部分が強く感じられるようになった。主人公は負ったハンディ(というと語弊があるかもしれない)にも屈せず、凛とした強さを見せている。実に格好良い。
余談だが、表紙の切子がキレイ。魅惑のブルーといった趣き。
・高額納税者:華道家の假屋崎さん、「爆笑問題」も上位に
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050517k0000m040118000c.html

俳優・タレント部門
爆笑問題が太田(8位)、田中(9位)とランクイン。司会業で稼いでる?からなのか。微妙な金額の差は何だろう?ピンで出てる仕事があったかなぁ……ちなみに、ダウンタウンの二人も昨年同様そろってランクイン。

注目の作家部門。
1位の西村京太郎は7年連続らしい。さすがだ。
年間刊行冊数が多い+どれもそこそこ売れる+2時間ドラマの原作収入=高所得ということか。赤川次郎や村上春樹など、コンスタントに稼ぐ作家はあいかわらず強い。この二人の「コンスタント」はある意味正反対に位置すると思うが。
セカチューの片山恭一は2位。『いま、会いにゆきます』の市川拓司が10位にランクインと、人気映画原作(=ベストセラー化)の強さも垣間見せる。昨年と違う顔ぶれとしては、9位に江國香織が。

その他部門。(その他という括りは意味不明だが)
漫画家・高橋留美子(2位)、青山剛昌(5位)はお馴染みのランクイン。
「NARUTO」の岸本斉史(9位)が新顔。
対抗馬?の「テニスの王子様」や「ONE PIECE」の作者はランク外。
宗教家・大川隆法(2位)は宗教法人以外の収入……印税などだろうか?

スポーツ、歌手、政治家は、詳しくないのでスルー。
既刊の連作短編『天使はモップを持って』の続編。
会社内で些細だが悪意ある事件が発生。若くてセンスある女性清掃作業員・キリコがオフィスを騒がす様々な謎をたちまちクリーンにする。
引用は『天使は〜』の紹介文より。
前作を楽しく読んだので、単純に続編は嬉しい。
オフィスの日常の謎を題材にした本格ミステリだが、日本的社会であるオフィスへの疑問を投げかける主人公の台詞回しもまた楽しい。
ミステリとしてだけでなく、ストーリー小説としても楽しめる作品。

DVD『g@me.』

2005年5月14日 映画
広告代理店勤務のエリート佐久間(藤木直人)は、憎々しいクライアント・葛城(石橋凌)の娘・樹里(仲間由紀恵)から、自分を誘拐して葛城から身代金3億円を手に入れる計画を持ちかけられ、やがてそれを実行に移す。しかし、それは危険な愛のゲームの始まりでもあった……。
タイトルの読みは「ゲーム」。
原作『ゲームの名は誘拐』(東野圭吾)がすごく良かったので、期待していた一本。近所のレンタル屋がずっと貸出し中で……

原作では主役2人が「誘拐」と「恋愛」の「ゲーム」として割り切っていた感が強かったが、本作では感情が揺れ動く、より人間的な解釈に。また、ストーリーも原作を一歩進めた感じになっており、脚本にも好感が持てた。(個人的には、より「ゲーム」的な印象を与える最後の最後のシーンは蛇足的な感じがするが……)
個人的には音楽が×。クール?な感じを出しているのかもしれないが、ストーリー展開にはそぐわず、ひどく浮いて感じられた。あと、仲間由紀恵の好演が光っていた。ファンの方には申し訳ないが、藤木直人は食われていた、というかパワー負けしていたような気がする。

個人的には音楽に難があるが、良くできた作品。原作ファンの期待を良い意味で裏切る仕上がりで、映画見た人が原作を読んでも楽しめる(と思う)。
・吉野ケ里遺跡、最古の副葬鉄鎌出土
http://www.saga-s.co.jp/kizi1.asp?ID=20050512&;;;COL=1
>楽浪郡付近からもたらされ、農具ではなく、武器として使用されたとみられる。鉄製武器を副葬した朝鮮半島の風習が、弥生の早い時期に吉野ケ里に伝わったことを示す資料

・壱岐・原の辻遺跡:北部九州との交流示す、周溝状遺構を発見 /長崎
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/nagasaki/news/20050513ddlk42040435000c.html
>弥生時代後期(紀元2〜3世紀)のもので、玄界灘沿岸から対馬海峡にかけての西北九州での発見は初めて。

・現生人類、6万数千年前にアジアで急速に拡散
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20050513i501.htm
>長く孤立していたために遺伝情報から祖先をたどるのが容易なマレーシアの先住民260人について、ミトコンドリアという細胞内器官の遺伝情報を新たに解読

アフリカ出自のミトコンドリアが拡散した時期を確定…ということ。
イコール、アフリカ単起源説を肯定ということにはならないが。
世間の定説は、アフリカ単起源説になっているようではあるが。

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