舞台は20世紀初頭の東北の農村。旧家のお嬢様の話し相手を務める少女・峰子の視点から語られる、不思議な一族の運命。時を超えて人々はめぐり合い、約束は果たされる。切なさと懐かしさが交錯する感動長編。
★★=2.0
『光の帝国』と同じ「常野物語」シリーズの続刊。蒲公英=たんぽぽ。
20世紀初頭ということなので、明治30年代後半の舞台設定だろうか。
人間は、弱く愚かな存在であるが故に強さと誇りを求める。
「立派に」生きることが美徳とされた時代の、心温まる物語であるが、ラストは恩田陸らしく、単なるハッピーエンドで終わらせない。
常野の人々の純朴さ優しさと相まって、読後には言い知れぬ不安が余韻として残った。
興味深いネットショップを発見した。
仕事関連の調べ物をしていて発見した某サイトの管理人さんたちが運営しているショップである。
「快読ショップYOMUPARA」http://www.yomupara.com/
読書関連グッズを扱っているネットショップ。
読書時間をもっと快適にしたい
ゆっくりのんびり本が読みたい
そんな願いをちょっとでも
サポートしてくれる
そんな商品を集めました
(以上、サイトより引用)
ということで、なかなか珍しいコンセプトのショップではないだろうか。商品数はまだ少ないが、結構気になるアイテムがある。テーブルクッションは、誰もが一度ならずあったら良いなぁと思った品ではないだろうか。オレンジ色のブックカバーは可愛くて、自分が使うにはアレだがプレゼントなどには良いかもしれない。
とりあえず、仕事場用のブックストッパーと一緒にブックカバーを注文してみようかな。

ちなみに、仕事関連の調べ物でヒットしたサイト。
デジタル/シゴト/技術 http://www.pot.co.jp/gotogi/
読みものが沢山あって、その多くが個人的にツボにはまる内容。
茶化した中に含蓄もあって、結構「読ませる」サイトではないかと。

冷汁カレー。

2005年6月26日 飲食
友人の用事につきあって?外出。
なんだかんだと遊んで帰って来る。
夕食に某カレー店へ行ったのだが、そこで見た今夏限定メニュー。
冷汁カレー。
宮崎県の伝統料理?「冷汁」がカレーになったというもの。
うーん。冷汁にカレーねぇ。うーん。
と悩んだものの、ネタ好きカレー好きとしては、いっておかなけりゃでしょう。

で、感想。
見た目はそんなにカレーっぽくない。普通の冷汁の色をしている。
匂いも特にスパイシーという感じではないが。もぐもぐ。
あ、スパイスがピリッとくる。どうやら冷汁にスパイスをあわせたものらしい。色からしてターメリックやパプリカは入っていないようだ。
特に辛い!ということもなく、ややスパイシーな冷汁。
不味くはなかったけど、カレー食べた気はしないなぁ。
思い立ってビリヤーニを作ってみる。
ビリヤーニとは、インド(に限らない?)の炊き込みご飯らしい。
乱暴に言えば、鶏肉とタマネギとトマトを米と一緒に炊くモノらしい。
レシピは例によって『華麗なる食卓』で(苦笑)
1.鶏肉をヨーグルト漬けにしつつ、研いだ米を水につけておく。
2.タマネギを軽く炒め、カレーパウダーで味付け。
3.タマネギに鶏肉とトマトをあわせて、さらに炒める。
4.米の水を切り、具とあわせて米の2倍の水で炊き込む。
以上。作り方の詳細はネットで検索してください(苦笑)
『華麗なる食卓』では13巻を参照。

感想。
カレーパウダーを使ったせいもあり、ほんのりカレーチャーハンのような香りが。味付けはやや薄いような気もするが、こんなもんだろう。ヨーグルトの酸味はあまり感じないなぁ。
この味なら、市販の鶏五目釜飯の素などにスパイスを混ぜても再現できそうだ。……私の腕が悪いせいだな。間違いなく。
あと、少し水っぽいというか、ややベチャベチャしている感じ。
今度作るときはもう少し水を減らして炊いてみよう。
『千と千尋の神隠し』の作画監督・高坂希太郎による、自転車レーサーの奮闘と人間模様を描く青春ドラマ。チームからの解雇を知りながらスペインでのレースで疾走するペペは、やがて故郷に差し掛かる。そこではかつての恋人と兄の結婚式が開かれていた。
★★★=2.5
ドラマティックな背景を持つ、あっさりした物語。
自転車レースにはまったく詳しくないが、それなりの臨場感が感じられた。中盤までその臨場感は、ただただ「暑そう」であったが、ゴール目前の躍動感には素直に興奮した。
「動」のシーンであるレースとは対照的に、物語の背景は「静」として描かれている。主人公は、故郷、兄、恋人、その全てを胸に飲み込んで、ひたすらに自転車を駆る。行間を読むというよりは、心情を察するという方が的確だろうか。全てを飲み込んだ主人公に想いを馳せ、その心情を察すると、ゴール直前の競り合いに熱くなり、思わず声援を送りたくなる。

物語の展開は決してドラマティックではない。しかし、ここには紛れも無い「ドラマ」がある。47分と小品ながら、見終わった後に爽やかな風を感じることのできる良作。
女子高教師の辺見祐輔は、忘れ物を取りに戻った夜の職員室で、怪しい人影に遭遇した。その直後、採点したばかりの答案用紙と愛車が消失。だが二つとも翌朝までには戻された…。誰が?なぜこんなことを?やがて辺見の親友タックこと、匠千暁が看破した意外な真相とは?続発する奇妙な事件の数々。めくるめく本格推理の快感。そして呑むほどに酔うほどに冴える酩酊探偵タック!日本ミステリ史上屈指の作中酒量を誇る、著者人気シリーズ、待望の最新傑作、書下ろしオマケ作品付き。
★★=1.5
デビューから今日に至る14年分のエッセイを集大成。創作の舞台裏から、読書遍歴、あまり表に出ることのないその素顔まで。物語に愛された作家・恩田陸のすべてが分かる、ファン必携の一冊。
★★★=2.5
★★=2.0
「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」のセカンド・シリーズ。
画像はDVD13巻のパッケージ。ようやく見終わった。

涼を求めて。

2005年6月18日 日常
涼を求めて、遠出。
流し素麺で有名な地元の観光地、唐船峡へ。
流し素麺というか、回り素麺ではあるが(苦笑)
水音を聞きながら素麺をすすり、涼を感じる。

まったりする間もなく、長崎鼻パーキングガーデンへ。
ココ、どう見ても動物園なのだが、
その実、国の認めた博物館相当施設なのである。
キツネザルの格好良さに見惚れたり、リスザルに餌を強奪されたり
アヒルレースに興じたりと、久し振りに童心に返って?楽しんだ。
動物園なんて、いつ以来だろう……
最愛の息子を交通事故で失ったジョン(サム・ニール)とレイ(ニコール・キッドマン)の夫婦は傷を癒すべくヨットで海の旅に出たところ、小型ボートで漂流していた男ヒューイ(ビリー・ゼイン)と遭遇。しかし、やがてヒューイは夫を沈みかけている自分の船に置き去りにし、ヨットを乗っとりレイとふたりきりになり…。
★ナシ
動物園を逃げ出したキリンと出会うひとびとは、みな何かを探してる。旅する巡礼のような彼らの約束の地はいったいどこに?元気が出る書き下ろし長篇小説。
★=1.0
西暦415年、ローマ帝国の支配下にあったブリテ(現在のイギリス)で、ローマ軍指揮官アーサーとその臣下である円卓の騎士たちが、ローマに帰るための最後の使命として貴族一家を救いに行く。しかし、独立を求めるブリテン人や、侵略者サクソン人との戦いは混迷を極めることに…。
★★=1.5
安槻大に通う千暁ら仲間七人は白井教授宅に招かれ、そこで初めて教授が最近、長年連れ添った妻と離婚し、再婚したことを知る。新妻はまだ三十代で若々しく妖しい魅力をたたえていた。彼女を見て千暁は青ざめた。「あの人は、ぼくの実の母なんだ。ぼくには彼女に殺された双子の兄がいた」衝撃の告白で幕を開ける、容赦なき愛と欲望の犯罪劇。
★★=1.5
雨の月夜、街婦の白い頸を締めて車で逃亡中の吉行明敬は、街路灯一本ない道で、一組の少年、幼女に遭遇する…。
少年は時間を経てきた痕跡の存在しない顔で、美しい、よく通る声をしていた。なぜか、どこかで会ったことがあるような気がする。
名前は白兎(ハクト)というらしい。少女は笹山和子。髪型も名前もやけに古臭い。彼女の名前にも聞き覚えがあるような。ともかく、明敬は車を発車させたのだった…
★=1.0
太平洋戦争も終わりに近い1945年、夏。海軍航空隊のエリート望月大尉は、特攻作戦への反発から302特別飛行隊を結成し、7人の個性的パイロットを集結させるが…。
★=0.5
名作演劇「The WINDS of GOD」が地元で公演される。
ぜひ見たい!見たいけど…うーん。と悩んでいたときに目に付いた作品。

第2次大戦時の話なのに、現代流行語で喋る登場人物は違和感がありすぎる。容姿も当時としてはありえない。空戦シーンなども一昔前の合成のようで興ざめ。しかし、現代でいえば木村卓也のような青年達が、特攻隊として若い命を散らしたんだなぁと映画に描かれない部分で感銘を受けた。
戦争モノにありがちな反戦テーマではなく、戦争の悲哀を描いたわけでもない。一風変わった青春モノとして考えれば良いのか。
「女の子にもてたいから、格好良いから戦闘機乗りを選んだ」というのは、当時の青年達の心情としては、間違っていないのかもしれない。
(お国のために!という青年がいなかったとは思わないが…)
隔離された学園都市。作られた日常。操作された記憶、学園の名を借りた実験施設。自由への逃走…培養された天才児たちの反乱。僕たちは学園から“自由”という出口に向かって走り始める。
迷路で走り続けるハツカネズミのように。
★★=2.0
冬目景、待望の新シリーズ。舞台装置を聞いただけで期待感で一杯。ふと、恩田陸っぽいとも思ってしまった。あちらは主に主役が女生徒で、こちらは主に男子生徒だが。
物語的には、この巻だけで「実験施設であること」等が判明しているため、誰が?何のために?という謎は薄い。むしろ、生徒達が助け合い、時には反目しながら、どのような結末を迎えるのか?が主眼と思われる。
人間の強さと弱さを描くのがパニックモノの常だが、冬目景ならではの格好良い人物描写に期待しよう。今後が楽しみ。
・新種恐竜:首の短い草食の化石 アルゼンチンで発見(毎日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20050602k0000m040169000c.html

・「名探偵コナン」声優と原作者が結婚!(日スポ)
http://www.nikkansports.com/ns/entertainment/p-et-tp0-050602-0004.html
息子の失踪直後に愛人が死んだ。離婚した夫とその娘も事件に巻き込まれる。息子はどこへ?犯人は息子なのか?第5回ホラーサスペンス大賞受賞作。
★★=1.5
物語に疾走感がある作品。息子の疾走を皮切りに、坂を転がり落ちるような展開。その暗さはむしろ墜落感というべきか。
物語は暗く、読み進めるにつれて陰鬱な気分になってしまう。息子の失踪の理由や物語の収斂は少々無理やりな感がある。物語にのめりこんできたのが、おや?という気分にさせられた。それ以外では吸心力のある文章で読者を引っ張っていただけに、相対的に淡白さが目立ってしまったのだろうか。
デビュー作だからこその勢いなのか、次回作が気になる作家である。
平穏な生活が突然、巻き込まれ型小説の白眉。巨大ワニの化石が発見されて一躍全国区となった南海市。突然注目を浴びた地方都市の市民相談室主査・倉永晴之のイライラは募るばかり。しかも上司は汚職で逮捕されるわ、妻は交通事故を起こすわ、彼の小さな肩に降りかかるトラブルはとどまるところを知らない。そんな折、市長から酒席で絡まれ、晴之は予想もしなかった暴行騒動の当事者となってしまう。平凡な市民生活を送る主人公が突然トラブルの渦中に巻き込まれ、闘いに目覚める。
★★=1.5
主人公は市役所の職員なのだが、彼を取り巻く公務員環境のダメッぷりには目を見張るところがある。さながらマンガのようだが、現在の状況はこんなものなのかと……。小役人的な登場人物たちを見るにつれ、公務員に対する風刺が多分に含まれている、と信じたい。
気の短い主人公の破裂・暴走ぶりに、ツッコミをいれつつ、ドキドキしながら読み進めてしまう。物語の全貌が見え始めた後半では、結構おおごとになっているが、逆境に耐えて成功するエンディングは中々に爽快感がある。
祝、第26回吉川英治文学新人賞受賞!第2回本屋大賞受賞!初のエッセイ集、受賞後第1作。イギリスとアイルランドにはとても行きたい。だが、飛行機には乗りたくない。いよいよ迫ってきた搭乗時間に、廊下を歩いていった私はそこで完全に立ち止まってしまった。そこには、大きな窓があった。そして、その外には、大量のあの乗り物が蠢いていたのである。ひえー、あんなにいっぱいあの乗り物がっ。信じられないっ。オーマイガッ。空港なんだから当たり前だが、博多でも羽田でもこんなに沢山の飛行機を見たことはなかったのだ。さーっと全身から血が引いて、抜けた。私は完全に思考停止に陥った。…(本文より)
★★=1.5
「酩酊混乱紀行」と題された、恩田陸の紀行本。
飛行機は怖いが外国には行きたい。恐怖を紛らわすために取り留めない妄想が湧いてくる。この妄想が本や映画のネタテンコ盛りで実に面白い。著者ならではの紀行文も実に良い。恩田陸ファンでなくとも、十分に楽しめる内容である。

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