和歌山県・紀伊半島に位置する、古来からの信仰深い土地“熊野”。浄不浄を嫌わず、黄泉の国との謂れもある熊野三山―熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社―の神々には意外な逸話が隠されていた…。
伝承にまつわり一寸の「?」から歴史を辿る桑原崇と棚旗奈々の旅路は、故郷を捨てた悲しい運命を生きる神山礼子と共に、熊野が孕む深遠な謎へと迫っていく。
☆=0.5
どんな職場にも忙しい時期と暇な時期がある。珍しいことに南方署は暇だった。圭司がここに配属されてから既に三ヶ月。同僚の黒岩から、いきなり文庫本を渡されページを開けという。真中あたりを開くと89ページ、八+三でインケツ、會川くんの負けといわれてしまう。なんとオイチョで四人分のジュースを買いに行かされるはめに。いまやヘタレだけでなく、パシリにされています。そんな時に事件は起こった。東中島で強盗、家にいた姉妹に刃物をつきつけて脅し、二万円を奪取。でも、それだけじゃない。可愛がっていたチワワも攫われたという。事件はそのままになったかと思われたが、二ヶ月後、思わぬところから顔を出したのだった!
★☆=1.5
南方署強行犯係シリーズの第2巻。
犯人候補の登場人物が少なく、ミステリとしてはやや弱い。しかし、物語に内包される「動物虐殺」とでも呼ぶべきテーマは大きく、重い。そのテーマをコミカルなストーリーにのせて描き出す筆者の実力はさすがである。
この想いは、本当のものなのか、彼の持つ「チカラ」なのか。札幌に身を寄せる19歳の少年「ユビ」。彼は、老婦人との奇妙な旅を運命づけられた―。書き下ろし長編小説。
★☆=1.5
暗く物悲しい印象を受けるストーリーは老婦人と少年の感傷に満ちている。若くして老成した感のある少年に潜む、年相応の情緒、老婦人の諦観。それらを、ひとつ、またひとつと示しながら進む奇妙な逃避行。物語が終焉を迎えた後、読者の胸に残るのは寒々しくて切ない感傷のみ。この「心地よい感傷に浸る」読後感こそが、本書の醍醐味かもしれない。
季節の約束ごと、肩書きなど無縁の動物たち。大自然に囲まれた農場暮らしは、人を謙虚に、自由にしてくれる!楽園の土の上から寄せられる、優しくつよいメッセージ、全50編。『週刊文春』連載エッセイを単行本化。
★★☆=2.5
突如としてTV中継が開始された奇妙な競技。RUN、BIKE、SWIM。全く予測不可能な展開、次々と脱落していく選手たち。だが、熱狂の渦に巻かれた視聴者は、彼らが走り続ける理由を、まだ知らない――!
★☆=1.5
★★=2.0
名前・正太郎(雄猫)、毛色・八割黒に二割白(長めの毛足)、飼い主・桜川ひとみ(ミステリー作家)、住まい・琵琶湖近郊、友犬・サスケ、特技・推理―。長編『ゆきの山荘の惨劇』『消える密室の殺人』(角川文庫)で鮮烈に登場した猫探偵の六つの事件簿は、こだわりや仕掛け、企みやいたずらが満載。さあ、正太郎といっしょに夢と、いや、推理と冒険の旅に出発。
★☆=1.5
サルだけが知っている愛する人の真実。彼女はなぜ死んだのか?目撃者は人と会話をするサル、バースディだけ。若き研究者が謎を追う長編ミステリー。
☆=0.5
本州最南端の半島沖の小島に建つ、巨大な西洋館。所有者・満喜寿一郎の莫大な財産の後継者を選ぶべく5組の男女が集められた。後継者決定の条件は巨大ダイヤを館から発見すること。謎に満ちた宝探しゲームの行方は…。
★★=2.0
雨がふったら
なにして過ごす?
そう これは
ただ雨ふりの日を
ゆるりと大切に
感じながら
聴きながら
通り過ぎるための本(本書冒頭より)
★★=2.0
雨に関する音楽、エッセイ、 雨の中の旅、雨の日の料理、ハンドメイドのレインコート……。様々なファインダーから覗いた「雨の日の過ごし方」を提案する一冊。
「キップをなくしたら駅から出られないの」。女の子に呼び止められたイタル。連れて行かれたのは、ステーション・キッズたちが暮らす東京駅構内の小部屋だった!子どもたちの冒険生活がはじまる。
★☆=1.5
「ファイブスター物語」のデザイン画集兼ガイドブック決定版がついに登場。描き下ろしセル満載で、A.K.D.の全キャラ全メカのデザイン画に著者自身による解説を併記したオールカラーの大ボリューム本。
★★=2.0
F.S.S.副読本の決定版シリーズ、第1巻。
オールカラーの上、細かな設定がぎっしり詰め込まれている。既刊の「キャラクターズ」などを買いためているマニアには大して目新しいものは無いが、最近のデータ改訂も含まれているので、マニアなら当然買いの一冊。この一冊にA.K.D.の王家、国家、MH、軍隊などが網羅されている。
アシスタント英語教師として来日したカナダ人・マーティ。言葉が通じなくてパニックになったり、文化の違いにショックを受けたりと、異国での生活はトラブルばかり。それでも前向きに日本を学んでいく彼は、ユキコという女性に出会い、恋に落ちる。
思いがけず始まった楽しい日々。しかし、彼にはカナダで待つ将来があり、日本にいられる時間はそう長くはなかった……。
★★=2.0
副題は「マーティとユキコの恋物語」
乱発されるネット掲示板・ブログ系書籍の中でも1・2を争う一冊。
ブログ読者の書き込んだコメントまで収録しているのは、プラスポイント。やや恋愛ネタに偏重していて、カナダ人が見た「日本」がもう少しほしいところだが、日記だけに作者の心情がストレートに出たためだろうか。事実、日本を発つ直前の部分には作者の葛藤が良く出ている。
さあ私の太陽神よ舞い上がれ 安宿に泊まる私を照らせ AMEBIC[Acrobatic Me-ism Eating away the Brain、it causes Imagination Catastrophe.]「曲芸的自己中心主義が脳を浸食する事による想像力の崩壊」。孤独と分裂の果てに「私」はそれを「彼」に伝えようと…。
☆=0.5
パワーはある。しかしながら、支離滅裂な上にストーリー性が薄い。錯文にあらわされるような、支離滅裂さが良いと言う方もいるだろうが、私にはどうにも馴染めなかった。
桃太郎に虐げられし、鬼たちの慟哭が聞こえる!「QED」シリーズ第9弾!!
岡山・吉備津神社に今も伝わる、占ト「鳴釜神事」。大和朝廷によって退治され、土中深く埋められた鬼神…温羅の首が、釜を唸らせて人の吉凶を告げるという。一方、これとは逆に、総社市の外れ、鬼野辺家に先祖代々伝わる大きな釜には、鳴ると凶…主が死ぬという言い伝えがあった。そして……、不吉の釜が鳴り、土蔵に長男・健爾の生首が!?旅の途中、事件に遭遇した崇は、事件の核心“桃太郎伝説”の騙りを衝く!
★☆=1.5
君たちはなぜ生きているんだ?増加する青少年の自殺に終止符を打つため、政府が立ち上げた恐るべきプロジェクトとは…。生きる意味を問う衝撃のストーリー。
☆=0.5
読みやすいが内容が薄い。
設定は面白いというか、面白くなりそうではあるものの、肝心の中身がよろしくない。書かれていることを納得させるだけの説得力に欠けるため、近未来の設定にリアリティがなく、結果、全体に短絡的な雰囲気を感じさせる。一応、ストーリー的な盛り上がりはあるものの、序盤で十分に予測できる内容のため、特に驚きもなく、「あぁ、ハイハイ。そうね」と読み終わってしまう。
「生きる意味を問う」には、文章力と発想があまりにも不足していると思うが、どうか。残念ながら、他人にはオススメできない一冊である。
本格ファンなら見逃せない名探偵が登場!市民サーヴィス課職員の腕貫男が出張所の窓口で、事件の謎を次々と解明する痛快ミステリー。
★=1.0
忘れてしまってはいませんか? あの日、あの場所、あの人の、ちょっと不思議で、しかしかけがえのない思い出を。郷愁と共に蘇る、7つの奇蹟の物語。
★=1.0
昭和40年代の下町商店街を舞台にした連作短編。「死」の匂いを強く感じさせる作品群である。すこしだけ「霊」の薫りも。1話目で脇役だった人物を次では主格に据えるなど、下町商店街の人々がクルクルと顔を出す。時には主役を果たし、時には名脇役として。

残念ながら、舞台は私が生まれる以前の世界であり、そこに郷愁を見出すことは出来なかった。しかし、「死」の匂いを強くまとわりつかせた物語には、不思議と胸に迫るものがある。郷愁とまでは言わないが、ほんのりとした淡い切なさを感じることが出来た。
異端の民俗学者”蓮丈那智。彼女の研究室に一通の調査依頼が届いた。ある寒村で死者が相次いでいるという。それも禍々しい笑いを浮かべた木造りの「面」を、村人が手に入れてから―(表題作)。暗き伝承は時を超えて甦り、封じられた怨念は新たな供物を求めて浮遊する…。那智の端正な顔立ちが妖しさを増す時、怪事件の全貌が明らかになる。本邦初、民俗学ミステリー。全五編。
★☆=1.5
16日放映の2時間ドラマ版は、実家にて録画依頼済み。(ウチにはビデオデッキが無い)記憶を呼び覚ます意味も含めて、再読。
「凶笑面」は、2時間ドラマにするには少々ツライ内容だ。このままではせいぜい1時間で終わってしまうだろう。なにせ、死体がひとつしか出ない。お約束的には、3人ぐらい死ぬんじゃあないかなぁ。脇役キャラを追加して、大学でのシーンを増やして……それでもトリック部分が薄いような(汗)。民俗学的な部分(蘇民将来とか)をクローズアップしてくれれば嬉しいけど。一般の視聴者にはわかりにくい部分かもしれないので、あっさりばっさり端折られたりして。
ビデオを見るのが楽しみだ。
一人の男の死体が発見された。被害者の周辺を捜査するうちに、31年前の殺人事件が浮かび上がる…。過去と現在をつなぐ殺人事件と、解明に奔走する刑事達の姿を通し、人間の欲望と幸せ、生きる意味を描くミステリー。
★=1.0
良くも悪くも2時間サスペンス風味。主人公の刑事に活躍の場面があまりなく、一捜査員として奔走しているうちに、事件が解決してしまう点は、ややカタルシスに欠ける。主人公に限らず、登場人物のキャラクターがあまり立っていないため、感情移入も薄い。登場人物同士の関係もご都合主義が過ぎるように思えた。文章もやや無味乾燥気味なため、単に事件発生から解決までの出来事を追った、という感想になってしまう。
作品の雰囲気は嫌いではないので、次回作に期待したい。骨太の刑事ドラマ(主人公は30代。世話になった先輩刑事の殉職あり)とかでどうだろうか。まぁ、それはそれで2時間ドラマ臭いのだが。

作者は刑事・検事・弁護士等が出てくるドラマに精通しているのだろうか。さらりと「次長検事」などと表記しているが、その手のサスペンスものをあまり見ない人には、どのくらいエライ肩書きなのか、わからないのではないだろうか。

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