副題に「良心的兵役拒否者たちの戦い」。
第一次世界大戦のイギリス。
宗教的、人道的見地から「徴兵制」に反対した人々の実話。
ノンフィクションとはいえ、あまりに淡々とした記述。
良心的兵役拒否者を取材した作者が、出来事の、拒否者の、「ありのまま」を脚色を加えず、誠実に伝えようとした結果だと理解したい。

教育的ドキュメンタリーをみているような退屈さも多少感じるが、
「徴兵制」という法に基づく「制度」に、人道的見地から反対し、「腰抜け」「臆病者」と後ろ指を差されながらも、信念を貫こうとした人々がいたこと。「僕は、人を傷つけたり殺したりはしたくない」。それは素晴らしい信念である。しかし、自国を脅かす「敵国」が存在し、その国が攻めてくる時、大切な人や物が奪われようとする時、それでも、そう言えるのだろうか。彼らはそう言えたのだろうか。
そういったことを真剣に考える機会を得たこと、「良心的兵役拒否者」という人々の存在を知ったこと。
そういった点で、私が本書に出合えた意味は大きい。
在野の研究者による古代史解読。
副題に「独自の方法で歴史年表を読み直す」とある。
各章をバラバラに読んでいたが、ようやく読了。
序盤では歴史資料から古代史を読み解いていく。
資料を付き合わせ、考察を加えていくスタイルには好感が持てる。
また、記年法への考察もあり、なるほど「独自の方法で歴史年表を読み直す」か、と思わせる。
残念ながら、タイトルに沿っているのはここまで。
中盤は日本文化論に言及したかと思えば、後半では戦争体験と感想を述べる。
しかも、皇国史観が色濃く圧し掛かるような表現である。

歴史愛好家のエッセイを思わせる後半はともかく、序盤の思考法は興味深い。
内容的には、「第2章 稲作の源流は江南から」「第3章 天孫降臨神話の源流」等が楽しめた。「第11章 天皇とは」「第12章 国、やぶれて山河あり」「第13章 昭和天皇とダグラス・マッカーサー」あたりについては、本の趣旨が違ってきているとしか思えない。
・訃報:松原みきさん44歳(毎日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/wadai/news/20041214k0000e060062000c.html
10月には亡くなられていたようです。
アニメ関係の歌しか知らないけど、イイ声の女性でした。
最近は作曲を手がけてましたね。
国府田マリ子「誰のせいでもない二人」「Harmony」とか。
あと、ウルトラマンの挿入かとかも。

ご冥福をお祈りします。
「THE WINNER」を聞きながら。

双子座流星群。

2004年12月13日 日常
残業を切り上げて、双子座流星群を見にいく。
ホットコーヒーに温かい肉まん、車中には毛布も完備だ。
見に行くと言っても、地元の山の上に行っただけ。
街灯がないので、星空がとても綺麗。
空気も澄んでいる。少し寒いけどな。
20〜22時くらいまで粘って、数えた流星は10個くらいか。
もっとたくさん流れるのかと思ったよ。
流星「群」っていうくらいだし……
ま、星空が綺麗だったから良しとしようか。

願い事?
「正月は休めますように!」
読みは「かんなび」。副題が「忌部神奈・女の神話シリーズ」

『宗像教授伝奇考』以来の歴史シリーズ。
「古代史上の謎」というピースを集めたモザイクから、1枚絵の姿を類推する、作者独自の歴史解釈は非常に面白い。
単行本でまとめて読むと、その奥深さにあらためて感心する。
連載中の新シリーズ『宗像教授異界考』にも、神奈がチラリと登場。
唐突に始まる、「side-A」から2年後のストーリー。
やや説明に欠ける点が気になるが、主人公の感情を丁寧に書き綴っている点には好感が持てる。過去の「傷」を治し癒すのではなく、「傷跡」として昇華し、結晶化している。

分量的には、1冊に収まる程度で、なぜ2分冊なのか?と思ったが、読み終えた今は、2分冊にすべき物語だと思う。しかも、前後編でも上下巻でもないと感じる。side-A、Bというネーミングは妥当だろう。
本書「side-B」も「side-A」と同様、小気味よく読みやすい文章で、言葉に出来ないほど素晴らしい読後感がある。
僕は、大学生の頃に恋人を交通事故で失い、以来きちんとした恋愛が出来ないでいる。社会や他人と少しだけずれて生きている。そんな時、一卵性双生児の「かすみ」と出会う。「かすみ」と「ゆかり」は、子供の頃、親を騙すためによく入れ替わって遊んでいた。しかし、それを続けるうち、互いに互いの区別がつかなくなってしまったという。そんなかすみを支えているうち、お互いの欠落した穴を埋めあうように、僕とかすみは次第に親密になっていく。
恋愛小説。続刊『side-B』と2部構成。
主人公が理性的というか、感情がやや欠落気味。極まった諦観は一種、壊れているかのようにも見える。いや逆か。壊れている状況は一種、諦観のようにも見える。のか。
人の命、心の傷。失われた時間、いま生きている時間。
大切な人の命が失われても、心に傷を負っても、それでも時間は流れていく。
非常に読みやすい文章。個人的に会話応酬型の文章は好みじゃないのだが、少し洒落ていて小気味良く交わされる会話は、楽しく読めた。これまた個人的に、会話文が巧いと思うのは村上春樹だが、そういえば、全体の文体と言うか雰囲気も似ているような気が。

#『side-B』は9〜11日の出張中に読む予定。
ホラー短編集。おどろおどろしい怪奇小説から、戦慄の猟奇犯罪まで各種取り揃えている。
短編は読みやすくて良いのだが、ガツンと長編で読んでみたいネタもある。もちろん、短編ならではの味もあるのだが……
ガツンとくる長編を期待してしまうのは贅沢と言うものなんだろうか。
『STAYリバース双子座の女』『STAYプラスお手々つないで』と継くSTAYシリーズ。元々は、友人に舞台が鹿児島らしい、と聞いて興味を持ったシリーズ。馴染みの地名が出てくるだけならなんてことはないが、作品自体の評判も良いようなので、注文してみた。

地方(というより田舎という描写)の高校で演劇部に所属する5人の少女。彼女達のひと夏の出来事をオムニバス形式で描く『ああ今年の夏も何もなかったわ』。双子の男の子の隠された姿と葛藤を描く『双子座の女』。『ああ今年の〜』の続編ともいうべき『お手々つないで』。
ちょっぴり切なくてあたたかい、ノスタルジックでセンチメンタルな『ああ〜』。
スタイリッシュなラブコメ風味の『お手々〜』。
個人的には『ああ〜』が好きだけど、ラブコメの王道的な『お手々〜』も良い感じ。ちなみに『お手〜』は続編を連載中。
某所で知ったコーヒー・ウォッカを試しに造ってみる。
造り方は、瓶入りウォッカを1/3減らして、瓶の口までコーヒー豆を詰める。というもの。

イザ実験!ということで、酒屋でサントリーのウォッカ(40度)を購入。やはりロシア産を使うのが良いのだろうが、あいにくロシア産はズブロッカしかなかったので国産で……イギリス産の方が良かったか?
コーヒー豆は酸味があるほうが良いと言うことなので、キリマンジャロをチョイス。コーヒー豆買うのなんて初めてだ。
レシピどおりに、ザラザラとコーヒー豆を詰める。2〜3日おくと豆が瓶底に沈んで成分が抽出されるらしい。
とりあえず、室温で3日ほど放置。

……したものが、こちらです(苦笑)
実際は、3日前に仕込んだものを今夜味見。
透明だったウォッカが見事にコーヒー色になっている。
豆は水を吸って瓶底に沈殿。

さて味見っと。ぐび。
……くぅ〜あぁ〜!
さすが40度のウォッカ。かなりキます。
コーヒーの香りと酸味が良い感じ。
コーヒー割であるトコロのブラックルシアンとは、また違った味。
そして、胃の辺りから何かがカァーっと上がってくる。
なんというか、もう、暖房器具?ってくらいあったまる。
某所では、キンキンに冷やして夏に。ということだったけど、
コレなら冬に飲んでも良いのでは。
いや、飲むというよりは舐めるという感じですが。
しばらくは、これをナイトキャップにちびちびやりますかね。
前作『氷菓』がツボにはいったものの、まさか続編が出ているとは。チェックが甘くなってるのは、年齢のせいにして、さっそく注文。
受領して間髪いれず読了。

前作よりはミステリ色が強いが、ややキャラクターが弱い。前作を読んでいることが前提なのだろうか?ただし、ゲスト?キャラクターの「女帝」は秀逸。格好良い。昨今のライトノベルは、現実にいないキャラばかりで、こういう「こんなヤツいないって!……いや、いるか。」ぐらいのスタンスのキャラは見なくなったような気がする。

ミステリとしては、内容が「犯人探し」ではない点が興味深い。
さらに、最後に大逆転が待っているのも良い。
蛇足ながら、表紙イラストは前作の方が好み。
私の過剰な期待に答えてくれた一冊。
季節外れの台風接近&良く分からん低気圧により、大雨&強風。
そんな状況にもめげず、書店にて星野之宣『神南火』を購入。
夕食に、良く行くログハウス風洋食屋?へ赴く。

ここはドリアが美味しいお店。私的定番メニューは
カレー味でボリュームたっぷりの「ハンバーグドリア」。
山菜ドリアをオーダーした友人と「サラダ食う?」と話す。
普段は+50円でミニサラダ付にするのだが、
今日はきちんとサラダを注文しないか?ということ。
700円のシーフードサラダをオーダー。見るのも初めてだ。

出てきたドリアをはふはふと食す。口内をヤケドしないように注意。
シーフードサラダは、野菜の上にイクラ・イカ・アサリ等がトッピングされていた。葉っぱ食わせろ!ということで、もりもり食べる。
もりもり………?
あれ、何だかお腹いっぱいだ。
ドリアは完食したものの、サラダは残ってしまった。
友人もこれ以上食えないと言っているし……
ゴメンナサイ。残してしまいました……

雑記。

2004年12月3日 日常
注文していた本が届いた。
西炯子『STAY』シリーズ3冊と、米澤穂信『愚者のエンドロール』。
感想はいずれ読んでから。時間無いなぁ。

北陸製菓「ペンギンズ・ランチ・クラシックス」315円を試しに1個購入。
今回はクラシックCD+クッキー2個です。フィギュアにあらず。
CDは全10種。それぞれ約34〜45分程度収録。
今回は「#8CMリラックス」ということで、
CMに使用されたスタンダード・ナンバー。
「アヴェ・マリア」や「ショパンの前奏曲7番」などなど。
……集めるかは微妙だな。多分集めない。
某委員会にて学者センセイの発言。

1.人命は大切ですけれど、ここはひとつ、人死にも辞さないという覚悟で、(中略)コレはそうゆうモノだと言う認識を…(後略)
スイマセン。そんな覚悟できないッス。

2.まだ研究段階で実用化して無い工法ですが、コチラで試験的に採用と言うと語弊があるんですが、(中略)あと5年いただければウチの研究室でも実用化の目途がたつと…(後略)
「あと5年あれば実用化」……一度くらいは言ってみたい台詞だ。

3.そのためには、まぁ、担当者の秋芳さんに頑張ってもらうということで、(中略)正月がないかもしれませんが…(後略)
……もう無理。限界です。
ばらばらだ……。何もかも終わった。幹郎は、父と母が出稼ぎ労働者であった淋しい家庭に育ったが故に、家族が一緒に暮らす平凡な家庭をつくることを第一に生きてきたが……。円熟の直木賞作家篠田節子が、細密画のように描くひび割れた家族の肖像。
現代の家庭事情を丁寧に描き出している。人々の求めた古き良き「家庭」は、現代社会では叶わぬ夢となってしまったのだろうか。
主人公は理想の「家庭」を構築し堅持することを当たり前と考え、そのために努力して来た。その結末はあまりにも寂しい。
「家庭」のために「個」を殺して来た時代は終わり、「個」を追求する時代が訪れたのかもしれない。現代では、「家庭」を構成するために「個」が寄り集まるのではなく、「個」が集まった結果、自然と「家庭」が構成されるべきなのだろうか。言うのは簡単だが、その実現が極めて難しいことは言うまでも無い。

何かが心に引っかかる読後感。漠然とした不安と寂寥感が切ない。
ハウス食品とマンガ『華麗なる食卓』の
コラボレーションによるレトルトカレー第3弾。
原作の読者アンケート人気?1らしい。

茹でてパウチから出すと、ガラムマサラの良い香りが。
挽肉も美味しい。
後口が少しヒリヒリするが、「辛口」と言う割には、
サッパリしていてそんなに辛くない。
そう思いつつ、丸ごとはいっている唐辛子をパクリ。
………!
カラーイ!辛い辛い辛いッ!
ハァハァゼィゼィと、呼吸が荒くなるほど辛い。コレは危険だ。

総合評価として。
量と値段を考えれば、ややコストは高い。
しかし、レトルトとは思えないほど美味いカレー。辛いけど。
コレは良いものだ。
「華麗なる食卓」シリーズでも群を抜いた出来。
聾唖の少女はなぜ死んだのか?幼い日、轢死した少女が最後に残した手話とは?美大を舞台に、記憶・写真・茶会…そして人差し指の先のない「らいな」との出会いが交錯する。第20回太宰治賞受賞作。
ミステリと言うかサスペンス調の煽り文句だが、
太宰治賞と言うことで、れっきとした純文学である。

主人公の過去への想いである聾唖の少女の存在、
写真を通じて見せる若者らしい分析観、そして、エキセントリックな女性、らいな。
美大の生活を通じて描かれる、過去への追憶と現在の所在無げな不安。
それらがほどよく溶け合い、やさしくひそやかに綴られる物語。

静かに心が震えるような読後感。堪能。
舞台は昭和8年。怪盗麝香姫と一高教師の知恵比べ。
著者の好きな大時代的アナクロ作品。
著者には同様の作品群として『帝都探偵物語』シリーズや、
『贋作遊戯』等の作品があるが、
残念ながらストーリーや活劇の面で本作はやや落ちるか。
探偵役が大人しすぎるのが問題だろうか?

探偵モノとして、その大時代さを存分に味わうべし。

40%アルファ版。

2004年11月29日 仕事
フィールドワークの報告書、原稿チェックの日。
指導者には前もって現行を送付済みだが、
この原稿が達成率40%程度の中途半端なもの。
ホントに納期に間に合うのだろうか?
間に合わなかった場合は……考えるのも恐ろしいが、
その場合にはプロジェクト全体が半年遅れる。
なんとしても納期までに!と言うところだが、実際はかなり微妙。
原稿にはいくつか修正が出たものの、概ねクリアできそうな案件。
あとは、残り60%の原稿を早急に作成せねば。

しかしアレだ、死ぬ気で働いてるときに、この仕事が終わったら……
と、次の仕事の話をされるのは、気が滅入るものだな。
休日出勤は当たり前の超過勤務で、夏期休暇も返上してるってのに。
コレが終わっても休みは無しですか(嘆息)
僕はエイジ、17歳。父親は不在、奔放な母と腕白な異父弟・ヒロトと3人で平凡な生活を送ってる。毎日家事全般をこなす高校生が「平凡」かは疑問だが。ある日弟が病気で倒れたのを境に、僕の日常が少しずつ崩れて…。
「悪党になりたい」と嘆息する少年に少し共感。
老成しているようでも、そこはやはり高校生。
思うところもあり、巻き込まれるように行動を起こしたものの、
考えるようには巧くはいかない。
出来事がほろ苦い思い出となる頃、少年は少しだけ成長する。

テンポの良い文章と爽やかさが好印象の一冊。

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