消えた肖像画、失踪した令嬢、石造の右腕だけが後に残され、遺言書を入れた風変わりな箱は持ち去られた―。稀代の天才レオナルド・ダ・ヴィンチが不可解な謎、奇妙な事件に挑む。そして待ち受ける運命は?
★★=1.5
副題に「15世紀末、ミラノ、レオナルドの愉悦」。
レオナルド・ダ・ヴィンチを探偵役に据えたミステリ。
まだ老境には程遠いレオナルドの偏屈ぶりと、天才ぶりが余すところなく描かれている。自らの工房で話を聞いて顛末を示唆する安楽椅子探偵ぶりも、現在に伝えられるレオナルド像に見事に当てはまる。現場に着く前に事件の全容を理解している点など、その天才ぶりはシャーロック・ホームズの物語のような洗練された味がある。
王宮付楽師兼画家であるレオナルドの立場もあり、上流階級の方々が多く登場する。漢字に振られたのカタカナのルビ(イタリア語?)も雰囲気を高めるが、長ったらしい名前が多くて登場人物に慣れるまで少し混乱。

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