「やっぱり、この瓶が一番だ」ひと気のないロンドンの美術館で南宋の青磁に魅せられた著者は、イギリス留学して美術史を学び、ついに欧州屈指の古美術商スピンクに職を得る。変人一歩手前の大富豪コレクターたち、華やかなアンティックス・フェア、貴族の館のオークション、ガンダーラ美術の世界的権威の壮絶な死など、英国人気質を垣間見ることのできる、極上の自伝的エッセイ。
★★=1.5
実家から借りてきた本。仕事の合間、昼休みに少しづつ読んでようやく読了。
骨董ブームの昨今、骨董入門の書籍等もあるが、本書はそういった骨董関連の実用書ではなく、骨董エッセイとしての良書である。
ロンドン、大英帝国の中心を担った街で、骨董に関わった著者だから書ける、英国気質、イギリスという国を描き出した一冊。

かつて世界を席巻した大英帝国という歴史、その気風を受け継ぐ「イギリス人」という人々。その「イギリス人」とともに著者がドライに、あるいは愛情を込めて、そして時には非難めいて描きながらも、第二の故郷と呼ぶ街、ロンドン。
私も、一度はその骨董街を歩いてみたい。

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