人は変化する世界を言葉によって把握する。どんな状況においても、言葉を媒介に誰かと繋がっていたいと願う…。語られることによって生き延びてきた物語である「日本昔話」を語り変えた書下ろし7編を収録。
★=0.5
直木賞候補作。
現代に「昔話」が生まれたらと考え、7つの日本昔話を語り変えた作品群を収録。各話の冒頭にはベースとなった昔話のダイジェストが記されているが、そのダイジェストぶりがすごい。余分な装飾を省いて、物語の筋を淡々と記している。その昔話をベースにして書かれた作品群であるが、いまひとつベースの昔話との接点が見出しづらい。なんとなく、イメージ上では類似性を認められるが、どの部分がどの要素を表現しているのか判別しがたい。
「語り変えた」という表現に拘らず、単純に昔話をイメージした短編集として読めば良かったのか。

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