「俺が仕事をするといつも降るんだ」クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。第57回日本推理作家協会賞短編部門受賞。
★★=2.0
人間の生死を決定するために死神がやってくるという、聞き慣れた設定の物語。
ところが、この死神がなかなかにオモシロイ。
飄々とした印象が強く、台詞回しも意図せずにどこかペシミスティックな感じ。クールに淡々と仕事をこなす彼に、あまりに冷たいんじゃないのかい?と言いたくなる場面もあるが、1冊読み終えるとどこか清々しい、爽快感がある。どの物語も格好良いのである。主人公である死神が格好良いのではなく、設定、舞台、台詞、その他の登場人物など全て含めて、物語が格好良いのである。満足度の高い1冊。

吹雪で山荘に閉じ込められた人々。その中には死神もいるし、死ぬことが決定している人もいる。……パロディかな、これは。ミステリの新しいカタチかもしれない。(もちろん、そんなワケない。)

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