恩田陸『蒲公英草紙−常野物語』
2005年6月28日 読書舞台は20世紀初頭の東北の農村。旧家のお嬢様の話し相手を務める少女・峰子の視点から語られる、不思議な一族の運命。時を超えて人々はめぐり合い、約束は果たされる。切なさと懐かしさが交錯する感動長編。★★=2.0
『光の帝国』と同じ「常野物語」シリーズの続刊。蒲公英=たんぽぽ。
20世紀初頭ということなので、明治30年代後半の舞台設定だろうか。
人間は、弱く愚かな存在であるが故に強さと誇りを求める。
「立派に」生きることが美徳とされた時代の、心温まる物語であるが、ラストは恩田陸らしく、単なるハッピーエンドで終わらせない。
常野の人々の純朴さ優しさと相まって、読後には言い知れぬ不安が余韻として残った。
コメント