『茄子 アンダルシアの夏』
2005年6月23日 映画『千と千尋の神隠し』の作画監督・高坂希太郎による、自転車レーサーの奮闘と人間模様を描く青春ドラマ。チームからの解雇を知りながらスペインでのレースで疾走するペペは、やがて故郷に差し掛かる。そこではかつての恋人と兄の結婚式が開かれていた。★★★=2.5
ドラマティックな背景を持つ、あっさりした物語。
自転車レースにはまったく詳しくないが、それなりの臨場感が感じられた。中盤までその臨場感は、ただただ「暑そう」であったが、ゴール目前の躍動感には素直に興奮した。
「動」のシーンであるレースとは対照的に、物語の背景は「静」として描かれている。主人公は、故郷、兄、恋人、その全てを胸に飲み込んで、ひたすらに自転車を駆る。行間を読むというよりは、心情を察するという方が的確だろうか。全てを飲み込んだ主人公に想いを馳せ、その心情を察すると、ゴール直前の競り合いに熱くなり、思わず声援を送りたくなる。
物語の展開は決してドラマティックではない。しかし、ここには紛れも無い「ドラマ」がある。47分と小品ながら、見終わった後に爽やかな風を感じることのできる良作。
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