沼田まほかる『九月が永遠に続けば』
2005年6月2日 読書息子の失踪直後に愛人が死んだ。離婚した夫とその娘も事件に巻き込まれる。息子はどこへ?犯人は息子なのか?第5回ホラーサスペンス大賞受賞作。★★=1.5
物語に疾走感がある作品。息子の疾走を皮切りに、坂を転がり落ちるような展開。その暗さはむしろ墜落感というべきか。
物語は暗く、読み進めるにつれて陰鬱な気分になってしまう。息子の失踪の理由や物語の収斂は少々無理やりな感がある。物語にのめりこんできたのが、おや?という気分にさせられた。それ以外では吸心力のある文章で読者を引っ張っていただけに、相対的に淡白さが目立ってしまったのだろうか。
デビュー作だからこその勢いなのか、次回作が気になる作家である。
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