平穏な生活が突然、巻き込まれ型小説の白眉。巨大ワニの化石が発見されて一躍全国区となった南海市。突然注目を浴びた地方都市の市民相談室主査・倉永晴之のイライラは募るばかり。しかも上司は汚職で逮捕されるわ、妻は交通事故を起こすわ、彼の小さな肩に降りかかるトラブルはとどまるところを知らない。そんな折、市長から酒席で絡まれ、晴之は予想もしなかった暴行騒動の当事者となってしまう。平凡な市民生活を送る主人公が突然トラブルの渦中に巻き込まれ、闘いに目覚める。
★★=1.5
主人公は市役所の職員なのだが、彼を取り巻く公務員環境のダメッぷりには目を見張るところがある。さながらマンガのようだが、現在の状況はこんなものなのかと……。小役人的な登場人物たちを見るにつれ、公務員に対する風刺が多分に含まれている、と信じたい。
気の短い主人公の破裂・暴走ぶりに、ツッコミをいれつつ、ドキドキしながら読み進めてしまう。物語の全貌が見え始めた後半では、結構おおごとになっているが、逆境に耐えて成功するエンディングは中々に爽快感がある。

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