菊地秀行『明治ドラキュラ伝』1
2005年4月29日 読書なぜ彼はここに来たのか──?明治に渡来したドラキュラ伯爵という、ありがちな設定だが、筆者らしい緻密な描写と整合性で物語を盛り上げている。
悪の香りともに、400年の時を超え、いま、ドラキュラが甦る!
伝奇ホラーの鬼才が新しき魔の世界を贈る。
188×年、帝都・東京。文明開化まもないこの街に、突然舞い降りた闇からの使者。剣術の天才・水無月大吾、柔の道を究める嘉納治五郎と、その弟子・西郷四郎──。
武道に生きる男達と、悪の魔王との壮絶な戦いの行方は?
思い付き一発の設定で書き殴らず、資料調査を行って史実との整合性を高めている点はさすが。もちろんフィクションが多分に加えられているが。
明治の帝都におけるヘルシング博士に嘉納治五郎を据えるのは、なかなかオツな趣向といえるのではないだろうか。また、ドラキュラが怪物=モンスターではなく、紳士然とした怪人として描かれているのも個人的にはポイント。
1巻と銘打っているので、今後の展開に期待したい。
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