出久根達郎『かわうその祭り』
2005年4月10日 読書あるコレクターが残した「幻の映画フィルム」の謎を追いかけていくと、旧満州から日露関係を揺るがした大津事件へと繋がった!歴史のうねりに翻弄される人々の悲喜劇を描いた、うんちく満載の痛快娯楽長編小説。朝日新聞好評連載の単行本化。話の主役が入れ替わり、話の筋が移り変わるため少々読みにくく、文章もやや固め。それでも読者を引き込んでいく展開はさすが。文章はドラマティックではないが、ミステリアスな展開で読者を引き込んでいく骨太な一冊。
浅学にして「かわうその祭り」の意味するところは知らなかった。へぇーといった感じか。なかなか含蓄のある台詞回しもあり、物語以外でも楽しめた。筆者が言いたかったことも別枠で(あとがきとして)述べられている。これまた納得の文章である。
コメント