伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』
2005年3月27日 読書コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?福井からの機内で読むつもりだった文庫版。結局、手をつけずに本日読了。
ところどころにファンタジックな部分があり、非現実的な印象を受けるが、その違和感をねじ伏せ、納得させるだけのパワーがある。しかも、押し付けるような強制力ではなく、これはこういう話なのだと、自然と受け入れられる親和性がある。
ミステリっぽい謎解き要素も興味を引くが、一番の魅力はその世界観であろう。後の作品に見られる独特の世界観は、デビュー作の本書で如実に顕れていたのだと実感。
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