水原秀策『サウスポー・キラー』
2005年3月4日 読書旧弊な体質が抜けない人気プロ野球チームの中で孤軍奮闘する、クールな頭脳派ピッチャー。彼は奇妙な脅迫事件に巻き込まれていく……犯人の狙いはいったい何なのか? 孤高のヒーロー大奮闘!野球風味ハードボイルド。
まさに直球ストレート。基本に忠実で文章も巧い。主人公は適度に気障でイイ男。おどけて見せることはあっても、意志が強く頭脳明晰。ハメられても孤立しても、怯まない。孤軍奮闘もこの手の話の醍醐味だろう。
ありがちといえばありがち、王道といえば王道だが、きちんと良い仕事しているのには好感が持てる。妙に奇を衒ったミステリが横行するいま、この素朴かつスタンダードな味はある意味、新鮮。
ミステリというよりはハードボイルド小説だが、物語に引き込んで一気に読ませるパワーは素晴らしい。
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