1965〜66年に発表された少年向けSFをまとめた短編集。
表題作ほか全5編。
私が生まれる前の作品群になるが、小学校の頃、図書館にあった同じ様な作品を、ドキドキしながら読んだことを思い出した。
ストーリー云々よりも懐かしさが先にたつ。
いわゆる「ジュブナイル」だが、現代の子供達にはさすがに古臭く見えるだろう。確かに「ライトノベル」と称される現代の作品群に比べれば、本書の作品群は設定もストーリーも稚拙といわざるをえない。
当時は中学生くらいまでをターゲットにしていたのだろうが、現代では中学生はおろか、小学校高学年にも幼稚と馬鹿にされかねない設定になってしまっている。この子供達の変化(進歩?)には、コミックとアニメによる部分が大きいと思われるが、それはまた別の話である。

結局、本書は、あの頃少年だった大人たちが懐かしさとともに眺める本であり、現代の少年少女が読むものではない。良くも悪くも「古き良き少年少女向けSF」である。

筒井康隆には(断筆以降色々とあるようだが、奮起して)、
ぜひとも「現代の少年少女向けSF」を書いて欲しいものである。

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