「思いわずらうことなく愉しく生きよ」を家訓として育てられた三姉妹の恋愛の物語。
結婚7年目の長女。その夫によるドメスティック・バイオレンスを中心にして話は進む。

作中で述べられるDVに関しては、なぜ別れない?と、非常に不思議に思うが、
DV被害者の女性には別れられない離れられない人も多いと聞く。
暴力振るう男って最低だと思うけどなぁ。

正直な話、江國香織の作品はは、あまり得意じゃない。
女性心理への得心のいかなさというか、どうにも居心地の悪さを感じてしまう。
ところが今回は、心理描写もすんなりと読み込めて最後まで楽しめた。
現実と乖離した恋愛が多い(と感じていた)これまでの作品と比べて、
妙に現実的なストーリー展開と感じたことも関係しているかもしれない。

「思いわずらうことなく愉しく」生きるのは並大抵のことじゃないし、世の中そんなに甘くない。
それでも、三姉妹はパワフルに生きている。
様々な葛藤や問題を抱えて、それでも前向きに生きている。
やっぱり「前向き」というのが、愉しく生きる秘訣かもしれない。

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