前作『家守綺譚』で言及のあった「トルコで考古学をしている村田」が主人公。
最後の方で『家守』の綿貫氏も登場してます。

舞台は1890年末、西欧列強に狙われる帝国末期のトルコ。
主人公村田の出会った下宿人達は、国籍も宗教も言葉も違っていたが、
どこかで心が通い合い、人間としてわかりあった。素晴らしいことだ。
その関係を砕いたのは、「国家」という大きくて何だか正体のわからないモノ。

淡々とした表現の中に芯の様な力強さを感じつつ、ラストシーンではしんみり。
寂しい様な悲しい様な、何かがじんわりと染みてくる読後感でした。

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